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ニセコの新谷(シンヤ)暁生さんは、業界の誰もが認めるトップクラスの雪崩屋である。侠気にあふれた快著『73 回目の知床』(須田製版、2006)に、新谷さんの雪崩に対する考えが開陳され、「ニセコ雪崩情報」が巻末に載っている。

 

ニセコ雪崩情報1号 2005/12/7

  • ニセコでは弱層を教えない。ここでは「吹雪が雪崩の原因を作る」ということを最初に教える。事故の多くが吹雪やその直後に起きているからだ。
  • 今日、日本では雪崩事故防止の考え方として、雪氷学研究による雪崩理論が定着している。その結果、各種講習会では雪崩事故の中でもっとも多いfirst action avalanche(一次発生型雪崩)でさえ弱層理論で説明しようとしてきた。
  1. ニセコでは弱層を教えない。ここでは「吹雪が雪崩の原因を作る」ということを最初に教える。事故の多くが吹雪やその直後に起きているからだ。
  2. 今日、日本では雪崩事故防止の考え方として、雪氷学研究による雪崩理論が定着している。その結果、各種講習会では雪崩事故の中でもっとも多いfirst action avalanche(一次発生型雪崩)でさえ弱層理論で説明しようとしてきた。

いささか過激な、雪崩学批判、雪崩教育批判ではある。が、この程度の雪崩学と雪崩教育の認識では、「チコちゃんに叱られる!」と大先輩は思いますが・・

【引用文】さて、その弱層理論で固めてあるのが『雪氷災害調査チーム&雪崩事故防止研究会編:雪崩教本』(山と渓谷社、2017)である。気象学者・中村一樹博士による弱層の紹介は、豊富であり秀逸である。

『雪氷災害調査チーム&雪崩事故防止研究会編:雪 崩教本』(山と渓谷社、2017)

山と渓谷社、2017

【右寄せ文字】ただ私の美学は、雲粒や樹枝・羊歯状部分を欠く無垢の結晶を、「降雪(系)結晶」という、誤解を生みやすい、つまらないネーミングで普及されていることを容認しない。結晶の形状と同じく「手抜き」用語だ。気象庁の用語に抵触しないように、あるいは、共同研究費が獲りやすいように、造語されたのかも知れない。

【中央寄せ文字】『雪崩教本』のp.55-56 に「弱層がない表層雪崩」として、
遠藤八十一モデルの紹介がある。

H1雲粒付きの結晶が含まれていよう

雪片はもともと強度が小さく、斜面で降雪強度大が継続すれば、弱層が無くても上載積雪荷重に耐えられず自壊し、表層雪崩発生に至る。その物理学的な根拠は、森林総合研究所十日町試験地の遠藤八十一博士により解明された。「1992 遠藤 八十一 粘性圧縮理論に基づく表層雪崩の発生予測に関する研究」日本雪氷学会学術賞

H2北海道の道路技術者の常識に学ぶ

「本州各地で一斉に同じ時期に雪崩の被害が出たことがあります。雪崩をもたらすドカ雪の前に、本州には珍しいサラサラした灰色の雪がつもり、それが原因だろうとささやかれていました。ミステリックな灰色の雪も、きっと単純な外形をしていただろう、と私は想像しています。」(若林隆三:雪と森林を考える①、北方林業第312 号、1975)
灰色雪の話は、雪氷学会の重鎮、四手井綱英・高橋喜平大先生からよく聞かされた。

H3北海道の道路技術者の常識に学ぶ

「本州各地で一斉に同じ時期に雪崩の被害が出たことがあります。雪崩をもたらすドカ雪の前に、本州には珍しいサラサラした灰色の雪がつもり、それが原因だろうとささやかれていました。ミステリックな灰色の雪も、きっと単純な外形をしていただろう、と私は想像しています。」(若林隆三:雪と森林を考える①、北方林業第312 号、1975)

【 I イタリック】灰色雪の話は、雪氷学会の重鎮、四手井綱英・高橋喜平大先生からよく聞かされた

【B(太文字)】上空の氷晶でできた巻雲は、輪郭があいまいである。灰色の雪はこれに対応する。一方、微小水滴でできた雲(例:入道雲)は白く輝き、輪郭が青空に映える。これが普通の雲粒付き結晶の積雪に対応する。

H4しかし、いまどき、ゴーグルやサングラスを通して

H5雪山で「灰色」を認識できるだろうか
H6私たちは大先生たちの昭和初期とちがって
【整形済みテキスト】リフトやゴンドラで容易に高所山域に到達できる。だから、ラッセルやキックターン時の足の抵抗感覚で、弱い雪はすぐにわかる。

さて、北海道では美しい人工雪を作った中谷宇吉郎先生の影響はあまりにも大きい。雪崩教育が弱層に特化されている感があるのは、新谷さんの住む北海道に、低温実験室での弱層再現実験を行う研究者が多い、ローカルな事情があるだろう。

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